• その頃、夫の仕事は危機的な状況にありました。
    これといった視覚もありませんし、若くもありません。
    今からの転職は厳しそうです。
    半ばあきらめつつ、求人情報誌に目を通していました。
    そんなところに、身体障害者福祉施設から他の職種へ転職するという友人からの声がかかりました。
    現場の手が足りていないので、後釜を見つけてからにするようにとの上からのお達しだったようです。
    わが家としては、願ったりかなったりです。
    準職員という待遇ではありましたが、施設長は喜んで採用してくれました。
    重度障害者の介護は体力的に大変です。
    人の集まりですから、もめごとも少なくはありません。
    いくらか認知症のあるおばあさんは、夫に好意を寄せているようです。
    たまにプレゼントをくれます。
    といっても、昼食で出されたパック牛乳なのですが。
    彼女がもっとも輝いていたのであろう時代の晴れ着姿の写真も見せてくれたそうです。
    また、知的障害もある若い男性は、施設のイベントが大好きです。
    花見、小旅行などの度に、早朝4時から正装して、リュックを背負い玄関で待っているそうです。
    こうしたユニークなエピソードも数々起こるのですから飽きることはありません。
    介護職への転職は、今や夫の敵職です。